プレキャストコンクリート製残置型枠工法とは
「プレキャストコンクリート製残置型枠工法」は、コンクリート製の重力式係船岸(岸壁・物揚場)または同様の構造となる既存施設において、施設性能の維持・改善または向上のために実施される水中コンクリートによる「腹付け工」を、プレキャストコンクリート製の型枠を構造物の一部とする工法により、効率的かつ安全に施工する技術です。
漁港施設等における「腹付け工」の施工では、スチールフォームを海中に設置し水中コンクリートを打設する方法が従来工法となっていますが、静穏度の高い港内でも波や流れの作用によるスチールフォームの被災は後を絶たず、その型枠の中の作業安全度は著しく低く、また東日本大震災の復旧・復興事業では、施設損傷等による作業スペースの不足、資機材と技能者の不足、二次被災のリスク増加などにより、施工が困難でした。
一方、プレキャストコンクリート製型枠部材を用いた施工は、海中において段階的に施工が可能で、工期短縮や安全性の面で優位な工法です。
さらに、漁港施設の長寿命化対策工法としてもプレキャストコンクリート製残置型枠を利用することにより、従来の海中施工にる課題が解決でき、施工効率と作業者安全度の向上に寄与する標準的な工法として開発しました。
プレキャストコンクリート製残置型枠工法による「腹付け工」の概要
①既存施設表面にアンカー工を施工
②1段目を据付、セパレータで固定
③2段目以降は同様に据付・固定
④ 残置型枠と既設の間に水中コンクリート打設
⑤上部工を施工し完了